オレキシン受容体拮抗薬は、現在最も新しい作用の睡眠薬で、レンボレキサント@デエビゴとスボレキサント@ベルソムラがあります。オレキシンは日本人の櫻井武先生によって同定された物質で、脳内で睡眠・覚醒に関与するとともに、摂食行動、報酬系、情動にかかわるとされています 。(余談ですが、医学会では近い将来、ノーベル賞を受賞するのでは無いか?と言われ、その位、画期的な発見という事ですね。)

オレキシンが結合する受容体にはオレキシン受容体1とオレキシン受容体2があり、レム睡眠の抑制には受容体1と受容体2の両方が、覚醒の安定には主に受容体2が関与しています。

デエビゴもベルソムラもオレキシン受容体1とオレキシン受容体2を阻害することで、覚醒状態から睡眠へと導きます。また筋弛緩作用が少なく、転倒のリスクが少ないこと、内服後の健忘などの認知機能への影響も少ないこと、呼吸機能への影響がすくないこと、緑内障などの眼圧への影響がないこともメリットです。従来からある睡眠薬は、比較的に深い睡眠が得られますが、オレキシン受容体拮抗薬では得ることが出来ません。逆に人はレム睡眠の時に夢をみます。オレキシン1・2受容体はレム睡眠の抑制をしていますので、オレキシン1・2受容体を強く阻害するとレム睡眠が増加し、夢が多くなる事象が起こります。ベルソムラの服用で夢が多くなったということがよく聞かれますが、それはこのような作用によります。そのため、悪夢をみやすい患者さんや嫌なできごとを体験して眠れない患者さんが服用する際は注意が必要です。

眠れないことでお悩みの際は早めの心療内科・精神科の受診をおすすめします。

参考:https://gen-shu.jp/