不眠症の治療は、強い薬を使ってでも「眠らせる」時代から、安全性が高く、止めやすい薬を使って、「その人の年齢、生活様式に合った睡眠」の時代へシフトしてきています。これは、不眠症治療のガイドラインに示されている「出口を見据えた不眠症治療」に沿った考えです。
当院では、不眠症の患者さんに対して、まずはしっかりと患者さんの生活状況や、考え方等を十分に聞き取り、適切な睡眠衛生指導をまず行うことを最優先としています。また、診察において不眠症の認知行動療法(CBT)を取り入れ、薬を使わずに眠れる様になることも目指しています。
薬を必要とする場合でも、それまで睡眠薬を飲んだ事のない方であれば、オレキシン受容体拮抗薬(ベルソムラ・デエビゴ)や小児であれば、メラトニン受容体作動薬(ロゼレム)を第一選択とし、必要に応じ非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、さらにはベンゾジアゼピン系睡眠薬の順に選択していく様にしています。
また、これまで睡眠薬を飲んできた患者さんの場合には、極力その処方内容を安全性の高い内容にシフトし、将来的には出口(休薬等)を模索出来ないか検討する様に勤めています。