強迫性障害はどんな病気?

外出先で家に鍵をかけ忘れていないか、ガスの元栓を閉めたかなど気になる・・・・
こういう体験は誰にでもありますが、このような不安がひどくなり日常生活に支障をきたした状態を強迫性障害といいます。
強迫性障害の症状には、強迫観念と強迫行為があり、両者が併存することが多いのですが、片方のみの症状が現れることもあります。

 強迫観念

強迫観念とは、大丈夫と思っても繰り返し頭に浮かんでくるばかばかしい不快な考えをいいます。

◎汚いものや汚染が気になる

◎不幸な恐ろしいことが起こるのではないかと脅える
例:鍵をかけ忘れて泥棒に入られる。ガスの元栓を閉め忘れて火事になる。 ◎事物の左右対称、順序、正確さが気になる
例:机の上の物が、対象に並んでないことが気になる。 ◎良心に反することをしないか不安になる
例:子供を刺してしまうのではないか。宗教的な戒めを破ってしまうのではないか。

 強迫行為

強迫観念を取り除き不安を打ち消すための動作や行為を行います。例えば下の1~4などを行います。

  1. 何度も手洗いする、長時間入浴する、などの洗浄行為。
  2. 鍵や元栓、電気のスイッチを何度も確認する行為。
  3. 物事を何度も整頓したり、掃除したりする行為。
  4. 儀式的に繰り返される、不安・不幸を避けるための行為。

強迫性障害の治療方法

強迫性障害の治療には、薬物療法と非薬物療法があります。

 薬物療法

強迫性障害には、脳内にあるセロトニンという神経伝達物質(神経細胞間で神経刺激を伝える物質)が深く関わっているため、セロトニンの作用を強めるような抗うつ薬が治療薬として多く用いられます。

しかし、効果が出るまでに時間がかかるため長時間の服用が必要ですし、また、うつ病に用いられるよりも多量の服用を要する場合があるので、私どもとよく相談しながら、気長に治療を続けていくことが大切です。

また、服用をやめると再発することがあるので、症状がなくなってからも治療を続ける必要があります。

 非薬物療法

強迫性障害の治療に用いられる非薬物療法にはいろいろなものがあります。よく用いられるは、行動療法とよばれる精神療法です。行動療法とは患者さんは強迫行為を行うことで不安から逃れようとしているため、強迫行為の回数を減らしても不安にならないように、患者さんの認識を変えていくことが必要となります。
そこで、薬物療法で症状を抑えながら、例えば手洗いを適当な回数で止めさせる、手洗いの仕方を指導する、手洗いの時間を指示するなどの方法で、強迫行為を自分でコントロールする『くせ』を身につけていく方法です。
この療法には患者さん自身が十分理解し積極的に参加することが大切ですが、患者さんだけでなく、家族も病気に対する理解を深め、温かく見守ることが必要です。